床
薄茶色の6人がけのシート
田舎町の車窓
どうやら乗り過ごした
車両には僕一人みたいだ
何気なく隣のシートを見る
じっと見つめている間
窓から入った陽が
端から端へとシートをさすった
電車がゆっくりと唸りながら速度を落とした
小さな駅に停まったが
乗ってくる人はいなかった
誰もいないなんて怖い
昔そうやってあなたは言った
懐かしい思い出
あたたかい陽気に満ちた車内と
どこか懐かしい田舎の風景が思い出させたのだろう
シートを見つめていた視線を窓に移した
何気なく隣のシートを見た訳を
知りたくは無かったから